間取り変更リフォームとは
間取り変更リフォームとは、部屋の壁や仕切りを取り払ったり、新たに設けたりすることで、空間のつながりや使い方を大きく見直す工事のことです。
たとえば、隣り合った部屋の壁を壊して広い空間にしたり、新しく壁を設けて部屋数を増やしたりと、生活の変化に応じた対応ができます。
間取り変更といっても、工事の内容はさまざまです。壁や床を壊して空間を再構成する大規模な工事もあれば、カーテンや可動式のパネルなどを使って、部屋を仕切るだけの簡単な工事も含まれます。
他のリフォームとの違いとしては、通常のリフォームが今ある空間を整えて50の状態のものを100に回復する工事だとすれば、間取り変更リフォームは、一度壊してゼロから作り直す、0を100にもできるようなイメージです。
ただし、必ずしもすべてが大規模というわけではなく、目的や住まいの状態に応じて、対応の幅が広いのも特徴です。また建物の構造上、壁を壊すことができない場合や、マンションの場合は実施できないことがあるため、事前にできるか確認をしましょう。
間取り変更リフォームは 「今の間取りが使いづらい」「家族構成が変わった」と感じたときに、暮らしに合わせて住まいの見直しができるリフォームといえるでしょう。
間取り変更リフォームの費用相場
間取り変更リフォームには、目的や施工内容によっていくつかの種類があります。
「どこをどのように変更するか」によって必要な作業や費用が異なるため、それぞれの特徴を把握しておくとよいでしょう。
ここでは、代表的なリフォームの種類と費用の目安を紹介します。
間取り変更リフォームの種類
間取り変更リフォームにはさまざまな種類があります。暮らし方や目的に合わせて工事する内容や費用も違うため、特徴を把握しておくとよいでしょう。
間取り変更リフォームには、以下のような種類があります。
- 空間一体化リフォーム
- 間仕切り設置リフォーム
- スペース活用リフォーム
- 水回りの間取り変更リフォーム
それぞれの特徴について、費用と一緒に紹介します。
相場費用
種類 |
費用 |
空間一体化リフォーム |
約5万円〜20万円 |
間仕切り設置リフォーム |
約5万円~25万円 |
スペース活用リフォーム |
約10万円~50万円 |
水回りの間取り変更リフォーム |
約10万円~ |
リフォームの費用は、工事内容や使用する素材、施工範囲によって大きく変わります。
たとえば、空間をつなげるリフォームは約5万~20万円が目安ですが、壁を壊したあとに床や壁をきれいに直す作業、壁の解体・補修・仕上げのセット工事が必要になるため、追加で費用がかかることがあります。
間仕切りを追加するリフォームも約5万~25万円ほどですが、壁だけでなくドアをつけたり、電気の配線を調整したりすることで、費用が上がることがあります。
また収納を増やす、室内窓をつけるといったスペース活用リフォームは、約10万~50万円くらいが目安です。ただし、組み合わせる内容によっては、それ以上になることもあります。
キッチンやお風呂などの水回りを移動するリフォームは、約10万円~が目安ですが、工事が大がかりになることが多く、内容によっては100万円以上かかる場合もあります。
ここで紹介している金額は、あくまで一般的な目安です。実際の費用は、家の状態やリフォーム内容によって変わるため、まずはどんなリフォームをしたいのかを考え、イメージを固めてみましょう。
間取り変更リフォームの
種類と種類別参考価格
間取り変更リフォームには、目的や家のつくりに応じたさまざまな種類があります。
代表的なのは、部屋同士をつなげて広く使う空間一体化リフォーム、壁を新たに設けて生活空間を区切る間仕切り設置リフォーム、収納や室内窓などを加えるスペース活用リフォーム、キッチンや浴室など水回りの位置を変える水回りの間取り変更リフォームなどがあります。
それぞれの特徴や種類、費用の目安を詳しく解説します。
空間一体化リフォーム
空間一体化リフォームは、隣り合った部屋の間仕切りを撤去し、ひとつの広い空間として再構成する工事です。
たとえば、リビングとダイニングの壁を取り払ってLDKにしたり、和室と洋室をつなげて使いやすい間取りに変更したりと、住まいの開放感を高めたいときに選ばれるケースが多くなっています。
閉ざされた印象のあった空間がひとつになることで、家族と過ごす場所が広がったり、家具の配置がしやすくなるなど、家での時間がより心地よくなります。
なお、間仕切りを撤去するだけでなく、床や壁紙の張り替えも合わせて行う場合が多く、全部交換した場合、約70万円~になります。
空間一体化のリフォームは、全体的に統一感を持たせることで、より快適な空間に仕上げられます。
種類 |
費用 |
間仕切り壁の撤去 |
約5万円〜10万円 |
壁紙の張り替え |
約20万円~ |
フローリングの張り替え |
約30万円~ |
※工事の難易度や内装仕上げの組み合わせによって、費用が変動するため、合計で約70万円~となる場合もあります。詳しくは業者に見積もりをご依頼ください。
間仕切り壁の撤去
間仕切り壁の撤去は、空間一体化リフォームにおいて最も基本的な作業です。壁を取り除くことで、隣接する部屋をつなげて広い空間に変えることができます。
この工事は、比較的簡単に実施できる場合もありますが、壁の構造や位置、使用する素材によって費用が変動します。間仕切り壁の撤去のみの費用は約5万円〜10万円ほどですが、電気配線や配管が埋め込まれている場合は追加費用が発生することがあります。
また、撤去した後に壁紙の張替えや、フローリングの張替えなど補修作業が必要になることもあるので、事前に見積もりをしっかり確認しましょう。
壁紙の張り替え
壁紙の張り替えは、間仕切り壁の撤去後に行うことが多い作業です。撤去後に発生した傷や汚れを隠し、部屋全体に統一感を出すために重要な工事です。
特に、部屋の雰囲気を大きく変えたい場合には、デザインや色を選ぶことができる壁紙を使うことで、インテリアにアクセントを加えることができます。
費用は一般的に約20万円〜となりますが、部屋の広さや選ぶ壁紙の種類、施工の難易度によって価格が変わることを考慮しましょう。デザイン壁紙や高品質な素材を選ぶと費用が増える場合があります。
フローリングの張り替え
フローリングの張り替えは、部屋全体の雰囲気を大きく変える作業です。リビングやダイニングの床を新しくすると、部屋が広く感じられるようになり、見た目がすっきり整います。
また、フローリングの素材によっては、メンテナンスが簡単で長持ちするものもあります。
例えば、表面が丈夫な素材で覆われており、傷がつきにくい強化フローリングや、耐水性が高く、お手入れが簡単なヴィニールフローリングなどは、日常の掃除が簡単で、傷もつきにくいので、忙しい日常でも安心して使えます。
フローリングの張り替え費用は約30万円〜が目安ですが、床材の種類や作業範囲によって費用が変わります。種類ごとに特徴や価格が違うため、事前に複数の業者から見積もりを取り、予算にあった選択をすることをおすすめします。
監修者:
一級建築士
商業施設士マイスター
小薗江正美
-
間仕切り壁の撤去後、床や壁、天井の張り替えを同じ素材で両部屋ともに実施すると、開放的で一体化した統一感のある空間を演出することができます。一方で、費用を最小限に抑えたい場合は、壁面撤去後、異なる仕上げの影響範囲を最小限に抑えるため、隣り合う部屋の仕上げ材が切り替わる部分に見切り材を使うなど、両部屋の床・壁・天井の張り替え範囲を極力少なくするよう検討してみましょう。
間仕切り設置リフォーム
間仕切り設置リフォームは、ひとつの部屋を使いやすく区切りたいときに行う工事です。たとえば、兄弟で使っていた子ども部屋を2部屋に分けたいときなどに選ばれています。
間仕切りの方法には、しっかりと壁を新設するタイプや、部屋としての機能を持たせるためにドアを増設する方法、必要なときだけ仕切れる可動式パネルの設置などがあります。
用途や空間の広さによって施工方法はさまざまですが、工事を組み合わせることで全体の費用が25万円〜になることもあります。用途や空間の広さによって施工方法は変わりますが、間仕切りの仕方ひとつで住まいの快適さは大きく変わります。
どんな方法が自分の暮らしに合っているのかを知るためにも、それぞれのリフォーム内容と費用の目安を確認しておきましょう。
種類 |
費用 |
間仕切り壁の設置 |
約13万円〜15万円 |
ドアの増設 |
約10万円〜15万円 |
可動式パネルの設置 |
約15万円~20万円 |
※工事の難易度や内装仕上げの組み合わせによって、費用が変動します。詳しくは業者に見積もりをご依頼ください。
間仕切り壁の設置
間仕切り壁の設置は、新たに壁をつくって空間を分ける基本的なリフォームです。たとえば、子ども部屋をふたつに分けたり、ワークスペースを確保するために活用されます。
しっかりとした壁で仕切ることで、プライバシーを保ちやすくなり、音の遮断もできます。壁の設置単体での費用は約13万円〜15万円ですが、ドアの増設や、コンセント設置など他の工事と組み合わせる場合は、費用が大きくなることもあります。
どのくらい料金がかかるのかは組み合わせによって変わるので、あらかじめ業者に確認しておきましょう。
ドアの増設
ドアの増設は、間仕切り壁を設置した際に、新たな出入り口を確保するための工事です。見た目のバランスや、空間の使いやすさのことも考えて設置することが多く、シンプルな開き戸から引き戸タイプまで、選ぶデザインによって雰囲気も変わります。
費用は10万円〜15万円ほどが目安です。間仕切り工事とセットで行うことが多いため、全体の見積もりに含まれている場合もあります。デザインや取り付け位置、引き戸や折れ戸などのドアの種類によって金額が変わるので、事前にどのくらいかかるかを確認しておくと良いでしょう。
可動式パネルの設置
可動式パネルは、必要なときだけサッと仕切れる便利なアイテムです。たとえば、普段は広く使っているリビングを、来客時だけ目隠しとして使ったりと、暮らしに合わせて空間の使い方を変えられるのが魅力です。
パネルには、左右にスライドできるレール式や、折りたたんでスッキリ収納できるタイプなどがあり、使いやすさと見た目を両立できる製品も多くなっています。
設置費用はだいたい15万円〜20万円ほどが目安ですが、部屋のサイズに合わせて調整が必要な場合や、壁紙の補修などが追加になると費用がかかる場合もあるため注意が必要です。
スペース活用リフォーム
スペース活用リフォームは、今ある空間をより快適に使えるように整えるための工事です。
たとえば、収納が足りない場所にクローゼットを新設したり、室内に窓を設けて空間に明るさや抜け感を加えたり、仕事や勉強に集中できるワークスペースを設けたりと、生活スタイルに合わせたちょっとした工夫が形になるリフォームです。
間取り全体を大きく変えなくても、使い方に合った設備を追加することで、住まいはよくなります。施工内容によって費用は変わりますが、こうしたいという目的が明確であれば費用を抑えて実現できる点も魅力です。
住まいの使い勝手は、ちょっとした工夫で大きく変わります。スペースをどう活かすかを見直すことで、今の暮らしがより快適に変わります。
種類 |
費用 |
収納の造作 |
約20万円〜80万円 |
室内に窓を設置する |
約10万円〜30万円 |
ワークスペースを設ける |
約15万円~60万円 |
※工事の難易度や内装仕上げの組み合わせによって、費用が変動します。詳しくは業者に見積もりをご依頼ください。
収納の造作(クローゼット等)
収納の造作は、部屋の一角を有効活用して、使いやすい収納スペースをつくるリフォームです。たとえば、使っていない部分にクローゼットを新設したり、広めの空間を活かしてウォークインタイプの収納を設けたりと、暮らしに合った形で収納力をプラスできます。
費用は、壁面クローゼットで約20万円〜40万円、ウォークインクローゼットで約30万円〜80万円ほどが目安です。収納の規模や造作の内容によって価格に幅があるため、どこまで作り込むかを考えて計画を立てると安心です。
扉をつけて見た目をすっきりさせたり、ハンガーパイプや棚板を取り付けて、衣類や小物が整理しやすいようにしたりと、使い勝手に合わせて中の仕様を自由にカスタマイズできるのもポイントといえるでしょう。
室内に窓を設置する
室内に窓を設けることで、空間に光や風を取り入れたり、閉塞感をやわらげたりすることができます。たとえば、リビングとキッチンの間に窓を設置することで、ほどよく空間を区切りながらも、お互いの気配を感じられるようになります。
デザイン性のあるガラスや木枠を使えば、インテリアのアクセントとしても活躍でき、視線を遮りつつ光だけを通すタイプを選べば、プライバシーを保ちながら開放感を演出することも可能です。
費用の目安は、窓のサイズやデザインによって異なりますが、おおよそ10万円〜30万円ほどです。設置場所の構造によっては、壁の補強や仕上げ材の変更が必要になることもあります。
選ぶ素材や配置次第で、空間の印象が大きく変わるため、取り入れ方をしっかりイメージしておくと満足度の高い仕上がりにつながります。
ワークスペースを設ける
ワークスペースの設置は、在宅勤務や趣味の作業に集中できる環境をつくるためのリフォームです。たとえば、リビングの一角にデスクまわりをまとめたり、間仕切りを活用して半個室の空間にしたりと、限られたスペースでも工夫次第で作業環境が整います。
設置方法はさまざまで、必要最低限のデスク&収納を取り付けるだけの簡易タイプから、壁や天井を区切って個室にする本格タイプまで幅広く対応できます。
費用の目安は、簡易的なワークスペースで約15万円〜30万円、半個室仕様で約40万円〜60万円、独立した個室タイプでは100万円を超える場合もあります。
空間の広さや使う目的に応じて、暮らしにあったワークスペースを実現しましょう。
水回りの間取り変更リフォーム
種類 |
費用 |
キッチン |
約50万円〜250万円 |
洗面所 |
約10万円〜50万円 |
トイレ |
約20万円~60万円 |
※設備のグレードや工事範囲によって費用が大きく変動します。詳しくは業者に見積もりをご依頼ください。
キッチン
キッチンの間取り変更では、壁付けタイプを対面式にしたり、作業動線を見直して使いやすくする工事です。たとえば、リビングとつながる対面式キッチンに変更することで、家族とのコミュニケーションが取りやすくなり、調理中もリビングの様子を確認できるようになります。
また、キッチンの移動を伴う場合は、給排水管の工事や換気のルート調整が必要になることもあります。設備のグレードや工事の規模によって費用は変わりますが、一般的には約50万円〜250万円ほどが目安です。
リビングとのつながりや収納量などもふまえ、快適に使える家事動線を意識したレイアウトにすると良いでしょう。
洗面所
洗面所の間取り変更では、洗面台の位置を変えたり、毎日の支度をスムーズにする工夫が中心になります。廊下とのつながりを見直したり、脱衣所との動線を改善したいときにもよく選ばれます。
シンプルな洗面台の交換であれば比較的手軽にできますが、位置を変える場合は配管工事や内装の補修が必要になるため、費用は約20万円〜100万円程度が目安です。
家族構成や生活スタイルに合わせて、使いやすい高さや収納量を考慮しながら計画を立てると、長く便利に使える空間になります。
トイレ
トイレの間取り変更リフォームでは、位置の移動や空間の広さを見直すことで、プライバシー性や使い勝手を高めることができます。たとえば、音の問題から寝室やリビングの近くを避けたいときに、配置を変えるリフォームが検討されることもあります。
位置の変更を含む場合は約20万円〜60万円が目安となります。トイレを新設する場合は、給排水の新設、間取り変更、大工工事、電気工事などをすると約50万円~100万円程度と考えると良いでしょう。
小さな空間だからこそ、使いやすさや清掃性にこだわった設計を意識することが大切です。
監修者:
一級建築士
商業施設士マイスター
小薗江正美
-
水回りの位置を移動させる場合、排水管の位置も同時に検討しましょう。通常、排水管を水回り周辺の床下に抜いて、そこから所定の場所(PSなど)まで横に配管する必要があります。木造一戸建ては概ね問題ありませんが、マンションなどの床下は、下階のお部屋の天井裏になるため配管を床下に抜けません。そのため、床仕上げと床スラブコンクリートの間のスペースで横に配管しなければならず、水回りの位置に大きな制約が出ます。
間取り変更リフォームで
後悔しない費用ポイント
間取り変更リフォームは、今より生活を暮らしやすくする方法ですが、規模や内容によって費用が大きく変わる工事です。
事前に確認すべきポイントを押さえておくと、思ったより高かった、そこも費用に入るなんて知らなかったなど、予算面での後悔を避けられます。
間取り変更リフォームで後悔しないために確認しておきたい費用のポイントを紹介します。
間取り変更リフォームで後悔しない費用ポイント
- 予算と要望をあらかじめ整理しておく
- 見積もりは複数とり、内訳も確認する
- 完成後までイメージする
それぞれ解説します。
- 予算と要望をあらかじめ整理しておく
-
- まず大切なのは、「どこに」「どれくらい」お金をかけるのかを明確にしておくことです。
なんとなくのイメージだけで進めると、後からこの設備いらなかったかも、もっと良い素材を選べばよかったなどと後悔する原因になります。
- 希望する間取りや仕上がりのイメージ、優先順位をしっかり整理しておくと、予算内で納得のいくプランが立てやすくなります。事前に方向性を固めておくだけで、後悔の少ないリフォームに近づけます。
- 見積もりは複数とり、内訳も確認する
-
- 見積もりは1社だけで決めず、必ず複数の業者から取ることが大切です。同じ内容でも金額に差が出ることがあるため、比較して検討しましょう。また、費用の内訳も見落とせないポイントです。
- 材料費・施工費・諸経費などがどこにどれだけかかっているかを把握しておくと、不要な費用や不明な項目に気づけることもあります。納得感のあるリフォームにするためにも、比較と内訳の確認は欠かせません。
- 完成後までイメージする
-
- 費用の使い方を考えるときは、完成したあとの暮らしまで想像することが大切です。見た目や間取りだけでなく、家具の配置や動線、収納のしやすさなども含めてイメージしておくと、せっかくリフォームしたのに使いにくいといった後悔を減らせます。
- 暮らしの快適さまで見据えることが、満足度の高いリフォームにつながります。
間取り変更リフォームで後悔したことは?
リフォーム
経験者
Dさん
-
やっぱりリフォームはお値段が高いのでもっと安くできたら良いのになーと思います。住む場所ですから妥協はできないので、次どこかやるとなったら、もっと慎重にやりたいので日頃から不便なところなど箇条書きにしてメモしておくのも一つの良い手段かなと思いました。
間取り変更リフォームの選び方や種類別メリット・デメリット
間取り変更リフォームは、どんな方法があるのか、項目が多く自分の家に合うのはどれかが分かりにくく、悩む方も多いリフォームのひとつです。選ぶ内容によって、使い勝手や仕上がり、費用などに大きな違いが出るため、まずは暮らし方や家のつくりに合った選び方のポイントを整理しておきましょう。
ここでは、間取り変更を考えるうえで意識したい選び方のポイントと、主なメリット・デメリットを紹介します。
間取り変更リフォームのポイント
間取り変更リフォームで失敗しないためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
間取り変更リフォームで考えておきたいポイント
- 暮らしやすさにつながる動線を見直す
- 将来の家族構成を想定する
- 構造への影響と安全性
それぞれ解説します。
暮らしやすさにつながる動線を見直す
部屋の配置やつながり方によって、日常の動きやすさは大きく変わります。例えば、キッチンから洗面所が遠い、リビングを通らないとトイレに行けないなど、不便さを感じている部分があれば、間取り変更を見直すタイミングかもしれません。
生活動線がスムーズになるだけで、毎日のストレスがぐっと減り、過ごしやすくなります。不便さに気づいたタイミングで、思いきって動線を見直してみましょう。
将来の家族構成を想定する
今の暮らしに合わせて間取りを変えるだけでなく、将来の変化も視野に入れておくと安心です。たとえば、子どもが成長したら個室が必要になる、親との同居を考えているなど、生活の変化に対応できる間取りを意識すると、長く快適に暮らすことができます。
将来の変化を考えて間取りを作成すると、満足度はぐっと高まることでしょう。
構造への影響と安全性
間取りを大きく変更する際は、建物の構造に影響を与える可能性があるかどうかをしっかり確認しましょう。特に、耐震性に関わる壁や柱を撤去する場合は、専門家による判断があると安心です。
マンションの場合は共用部分や管理規約に制限がある場合もあるため、事前の確認と安全性の確保を忘れずに行いましょう。建物の構造によって、間取り変更できる範囲も変わります。
たとえば、柱と梁で支えるラーメン構造は、比較的自由に壁を取り払いやすい一方で、壁そのもので建物を支える壁式構造は、壊せない壁が多くあります。どの部分が壊せるか、専門家に確認してもらうことが大切です。
安全面の確認を怠らないことが、安心して生活できるリフォームにつながります。
監修者:
一級建築士
商業施設士マイスター
小薗江正美
-
通常、リフォーム工事においては建築物を新築する際に必要な「確認申請」が必要ありません(床、柱、はり、階段、屋根などの主要構造部を過半以上改修する場合は必要)。従って、構造部を変更・改修することで安全性に影響が出る可能性があっても、チェックする機会がありません。間取りを変更する際は、専門家に相談し判断を仰ぐと安心です。
メリット・デメリット
種類 |
メリット |
デメリット |
空間一体化リフォーム |
部屋が広く感じられる |
床・壁の補修が必要になる可能性がある |
間仕切り設置リフォーム |
個室が増えプライベート空間を確保できる |
設置場所に配線やダクトの制限がある |
スペース活用リフォーム |
室内窓やワークスペースで空間に個性を出せる |
組み合わせ内容によって費用が高くなる |
水回りの間取り変更リフォーム |
生活動線が改善される |
大規模な工事になることが多く、費用・期間ともにかかりやすい |
間取り変更リフォームの種類によって、得られる効果や費用、工事の規模には違いがあります。
たとえば、空間一体化リフォームのメリットは部屋が広くなって開放感が出るのが魅力ですが、一方で壁を撤去したあとの補修や内装のやり直しが必要になり、想定より費用がかかる場合もあります。
間仕切り設置リフォームは、個室を増やしたいときや、部屋を仕切りたいといったときに便利です。ただし、間取りや部屋の広さによっては圧迫感が出ることもあるため、全体のバランスには注意が必要です。
また、収納を増やしたい場合や、ちょっとしたワークスペースを設けたいときには、スペース活用リフォームが向いています。自由度が高く、満足度も得られやすいリフォームですが、内容によっては費用が膨らみやすい点も押さえておきましょう。
そして、水回りの間取り変更リフォームは、キッチンや浴室、洗面所などの使い勝手を改善したいときにおすすめです。生活動線が整って家事がラクになるなど大きなメリットがありますが、そのぶん配管の移動が必要になるため、費用や工期は他の工事よりかかりやすい傾向にあります。
間取り変更リフォームの
施工までの主な日数と流れ
間取り変更リフォームは、計画から完成まで数週間から数ヶ月ほどで完成します。
特に、施工内容の種類によって工期が大きく違うため、スケジュールを事前に把握し、流れを確認しましょう。主な流れは下記のとおりです。
- 情報収集・イメージ固め
- 見積もり・プランの相談
- 契約・詳細プラン決定
- 工事準備・着工
- 施工
- 完成・引き渡し・アフターサポート
情報収集・イメージ固め
雑誌やSNS、施工事例などを参考に、理想の間取りを具体化していきます。
どこをどう変えたいのか、家族とすり合わせながら希望を整理することで、リフォーム会社への相談もスムーズに進められます。
見積もり・プランの相談
リフォーム会社に相談し、現地調査を行ったうえでプランと見積もりを提案してもらいます。
工事の内容や規模によっては、複数回にわたって調整を行うこともあります。
内容にもよりますが1週間ほどを見ておくと良いでしょう。
契約・詳細プラン決定
プランや金額に納得できたら契約に進み、仕様やスケジュールなどを確定させます。
追加費用が発生しやすいポイントもこの段階で確認しておくと安心です。
内容によりますが1週間ほどみておくと安心でしょう。
工事準備・着工
資材の手配や作業スタッフの調整、近隣へのあいさつなど、着工前の準備を進めます。
大規模な工事や繁忙期などは、資材の準備の関係で1週間ほどかかることもあります。
施工
壁の撤去のみなどの小規模な工事は1週間以内で完了することもありますが、水回りの移動や間取り全体の変更を伴う工事では、1〜3カ月程度かかることもあります。
フルリフォームを兼ねた大規模な工事では、4カ月前後になるケースもあるため、余裕をもったスケジュール計画が必要です。
完成・引き渡し・アフターサポート
工事の最終チェックや手直し対応を行ったあと、設備の使い方説明や保証内容の確認を経て引き渡しとなります。日数はその日から数日程度です。
引き渡し後のアフターサービスや不具合対応の流れも、あらかじめ確認しておきましょう。
これから工事を始める方へのアドバイスは?
リフォーム
経験者
Aさん
-
工事前にやっておくべきことは、断捨離と予定をきちんと把握すること、そしてコミュニケーションです!
思った以上にお金や時間もかかるため自分の心にゆとりを持ちながら、担当の方に相談したりしつつ、目指すべきリフォーム(妥協できる点)を自分の中で整理。
打ち合わせ時点からしっかり自分の意見を伝え、伝えすぎなくらい伝えた方がやっぱり相手にも伝わるでしょうし、入れ違いというか、勘違いというか、ギャップは生じないかと思います。工事してから、「あぁ、ここもうちょっとこう伝えておくべきだったな」とか「ここはこう伝えたはずなのにな…」と思うことが少なくなるかと思いますので、コミュニケーションをとることが1番大切です!