断熱リフォームの種類と種類別費用相場
どの方法を選ぶべき?断熱リフォームの種類と特徴
断熱リフォームにはさまざまな方法があり、それぞれ施工範囲や特徴、費用が異なります。
自宅の構造や求める断熱性能によって最適な方法を選ぶことが重要です。
ここでは、主要な断熱リフォームの種類とその参考価格を紹介します。
1.窓の断熱リフォーム(10万~50万円)
窓は家の中で熱が最も出入りしやすい場所のひとつです。
そのため、窓の断熱性能を高めることで、冷暖房の効率が大幅に向上します。
- 内窓(インナーサッシ)の設置(10万~30万円)
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- 既存の窓の内側に新たに窓を設置することで、二重窓にする方法です。
工事が比較的簡単で、コストを抑えながら効果を実感できます。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 内窓の設置は断熱だけでなく、防音効果も期待できるため、交通量の多い道路沿いの住宅などにもおすすめです。
- Low-E複層ガラスへの交換(5万~20万円)
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- 断熱性能の高いLow-Eガラスを使用することで、窓からの熱の流出入を防ぎます。
窓ガラスの交換のみで済むため施工期間が短く、手軽に断熱効果を高められます。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- Low-E複層ガラスとは、ガラスの内側に特殊な金属膜をコーティングした、断熱性能の高い複層ガラスのことです。
- 樹脂製サッシへの交換(20万~50万円)
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- アルミ製サッシを樹脂製に変えることで、熱の伝導を抑える方法です。
既存の窓を取り外すため、やや工事が大がかりになりますが、断熱効果は高いです。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 一緒にガラスも断熱性能の高いものに交換することをおすすめします。
- こちらで詳しく解説
- 窓リフォームの費用相場は?種類やメリット・デメリットも解説
2.壁の断熱リフォーム(50万~200万円)
壁の断熱は家全体の断熱性を高めるために有効な方法です。
室内環境の安定に寄与し、結露防止にもつながります。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 壁の断熱は室内全体の温度環境を安定させるうえで非常に効果的です。外気の影響を受けにくくなることで、冷暖房の効率も大きく向上します。
- 内断熱(50万~150万円)
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- 既存の壁の内側に断熱材を詰める方法で、比較的コストが抑えられます。
ただし、施工後に壁の厚みが増すため、室内空間が若干狭くなることがあります。
- 外断熱(100万~200万円)
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- 住宅の外側に断熱材を取り付ける方法で、高い断熱効果を発揮します。
施工費用は高めですが断熱効果が持続しやすく、長期的な省エネ効果が期待できます。
リフォーム
経験者
Nさん
- 壁に断熱材を入れる工事をしましたが、防音効果も思った以上で、リフォーム後は外の車の音や通行人の話し声がほとんど気にならなくなりました。
おかげで、子どもが勉強に集中しやすくなったり、生活の質がぐっと上がったと感じています。
あと、断熱材を入れたことで結露がかなり減って、壁や窓まわりに出ていたカビもほとんど見なくなりました。
3.床の断熱リフォーム(30万~100万円)
床の断熱は、特に冬場の足元の冷え対策として効果的です。
- 床下に断熱材を敷き詰める(30万~80万円)
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- 既存の床の下に断熱材を充填する方法で、費用を抑えつつ高い断熱効果が得られます。
- 断熱性能の高い床材への交換(50万~100万円)
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- 断熱材が組み込まれた床材に張り替える方法です。
既存の床を撤去する必要があるため、施工期間は長めになります。
4.屋根・天井の断熱リフォーム(40万~150万円)
夏場の室温上昇を抑えるために、屋根や天井の断熱は重要です。
- 天井裏の断熱材充填(40万~100万円)
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- 天井の裏側に断熱材を吹き込むことで、熱の侵入を防ぐ方法です。
比較的短期間で施工でき、費用も抑えられます。
- 屋根断熱(80万~150万円)
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- 屋根全体に断熱材を張る方法で、効果は高いですが、施工費用は高めになります。
断熱リフォームで後悔しない費用ポイント
断熱リフォームの費用、どこに注意するべき?
断熱リフォームは、適切に計画すれば快適な住環境を手に入れることができますが、費用の面で後悔しないためのポイントを押さえることが大切です。
「もっと安くできたのでは?」「期待していた効果が得られなかった」といった失敗を防ぐため、以下のポイントに注意しましょう。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 事前に目的や優先順位を明確にしておくことが重要です。「どこに」「どれだけの効果を求めるか」を意識するだけでも、満足度は大きく変わります。
1.施工範囲の優先順位を決める
すべての部位を断熱リフォームするのが理想ですが、それには多額の費用がかかります。
限られた予算内で最大限の効果を得るために、優先順位をつけることが重要です。
- 窓の断熱から始めるのがコスパが良い
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- 住宅の熱の約50%は窓から流出・流入すると言われています。
そのため、費用を抑えつつ効果を感じやすい窓の断熱リフォームを優先するのが賢明です
- 屋根や床も次に検討すると効果的
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- 夏場の暑さ対策には屋根断熱が有効であり、冬場の足元の冷えには床断熱が適しています。
住環境に合わせて優先順位を決めましょう。
2.補助金や助成金を活用する
自治体によっては、断熱リフォームに関する補助金制度を設けています。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 補助金の申請には事前準備や手続きに時間がかかる場合もあるため、工事の計画とあわせて早めに情報収集をしておくことが大切です
- 「こどもエコすまい支援事業」
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- 断熱改修を含む省エネリフォームに対して、補助金が支給される制度。
例えば、窓の断熱改修には1枚あたり数万円の補助が受けられます。
- 「自治体の省エネ補助金」
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- 地方自治体によっては、特定の断熱リフォームに対する助成制度があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
近年の猛暑化に伴い、各自治体では断熱リフォームを支援する補助金が充実してきています。断熱リフォームの補助金については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
- こちらで詳しく解説
- 2025年版|断熱リフォームで利用できる補助金について徹底解説
3.相見積もりを取り、適正価格を見極める
断熱リフォームは、業者によって見積もり額が大きく異なる場合があります。
複数の業者に見積もりを依頼し、費用や工事内容を比較することで、適正価格で施工できる業者を選ぶことができます。
- 「一括見積もりサービス」を活用するのも手
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- 一度に複数の業者から見積もりを取ることで、比較検討しやすくなります。
- 「安さ」だけで選ばないことが大切
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- 費用を抑えることは大事ですが、価格が安すぎる業者には注意が必要です。
断熱材の質が悪かったり、施工が雑だったりするケースもあるため、施工実績や口コミもチェックしましょう。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 繰り返しになりますが、目に見えにくい工事だからこそ、価格だけで選ばず、施工品質や施工業者の信頼性を重視することが大切です。
断熱材の選び方や種類別
メリット・デメリット
断熱材の種類で断熱効果は変わる?選び方のポイント
断熱リフォームでは、使用する断熱材の種類によって断熱効果や施工方法が異なります。
「どの断熱材を選べばいいのか分からない」という方も多いですが、それぞれの特徴を理解し、住まいに合ったものを選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な断熱材の種類と、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
1.グラスウール(繊維系断熱材)
特徴: 住宅用断熱材として広く使われている。ガラス繊維を主成分とし、耐火性が高い。
メリット
- 価格が比較的安く、コストパフォーマンスが高い
- 防火性に優れており、火災時の安全性が高い
- 施工業者が多く、施工しやすい
デメリット
- 吸湿性があり、湿気を吸うと断熱性能が低下する
- 施工が不十分だと断熱効果が下がる
2.ウレタンフォーム(発泡系断熱材
特徴:現場で発泡しながら吹き付けることで隙間なく施工できる。
メリット
- 断熱性能が高く、隙間なく施工できる
- 防水性があり、湿気に強い
- 施工後の剥がれや沈下が少ない
デメリット
- 施工コストが高め
- リフォーム後の撤去や変更が難しい
3. ポリスチレンフォーム(ボード状断熱材)
特徴:発泡スチロールのような素材で、軽量で加工しやすい。
メリット
- 断熱性が高く、屋根や床の断熱にも適している
- 耐水性があり、湿気を含みにくい
- 比較的安価で導入しやすい
デメリット
- 加工が必要なため、施工業者によって仕上がりに差が出る
- 高温に弱く、耐火性能は低め
4.セルロースファイバー(自然素材系断熱材)
特徴:再生紙などの自然素材を原料とし、高い調湿効果がある。
メリット
- 調湿性が高く、結露対策に有効
- 遮音性が高く、防音効果が期待できる
- 環境に優しい
デメリット
- 他の断熱材と比べてコストが高い
- 施工が専門業者でないと難しい
最適な断熱材の選び方
断熱材を選ぶ際には、以下の点を考慮するのがポイントです。
- コストを抑えたいならグラスウール
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- 価格が手頃で施工業者も多いため、コストパフォーマンスに優れています。
- 高い断熱性能を求めるならウレタンフォーム
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- 湿気対策をしたいならセルロースファイバー
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断熱材は一度施工すると簡単には交換できないため、慎重に選ぶことが大切です。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- それぞれの断熱材にはメリット・デメリットがあるため、特徴を理解したうえで施工業者と相談することが大切です。知識があると納得のいく選択がしやすくなります。
断熱リフォームの施工までの
主な日数と流れ
断熱リフォームってどれくらい時間がかかるの?
断熱リフォームを検討する際、「どのくらいの期間で終わるのか?」と気になる方も多いでしょう。
工事内容によって施工期間は異なりますが、一般的な流れを知っておくとスケジュールの計画が立てやすくなります。
1.事前準備(1週間~1カ月)
- 施工業者の選定(相見積もりを取る)
- 断熱リフォームの範囲と方法を決める
- 必要に応じて補助金の申請
2.窓断熱リフォーム(1日~3日)
- 窓の交換や内窓の設置は1~3日程度で完了
- ただし、窓ガラスの交換のみなら1日で終わる
3.壁・床・屋根の断熱リフォーム(1週間~1カ月)
- 内断熱(壁の中に断熱材を充填):1~2週間
- 外断熱(外壁に断熱材を施工):2~4週間
- 床断熱(床下に断熱材を入れる):1週間程度
- 屋根・天井の断熱(断熱材吹き付け):1週間~2週間
4. 最終確認と仕上げ(1週間)
- 施工後の確認(断熱効果のチェック)
- 不具合があれば修正対応
- 仕上げ作業
断熱リフォームをスムーズに進めるポイントは?
断熱リフォームを成功させるためには、計画的に進めることが大切です。
特に、施工のタイミングや準備の有無が工事のスムーズさに影響します。
まず、リフォームの時期について考えましょう。
断熱リフォームは一年中可能ですが、春や秋は工事が集中しやすく、業者の予約が取りづらくなることがあります。
特に寒冷地では冬が始まる前に施工を完了させたいと考える人が多いため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
次に、施工前の準備についても意識しましょう。
工事の内容によっては、部屋の家具や荷物を一時的に移動させる必要があります。
例えば、壁の断熱リフォームを行う場合は、大型家具を動かさなければならないこともあるため、事前にスペースを確保しておくと作業がスムーズに進みます。
また、床の断熱リフォームをする際は、フローリングを一時的に剥がすことがあるため、生活に支障が出ないようにスケジュールを調整することが大切です。
リフォーム
経験者
Nさん
- 工事中はどうしても音やほこりが出ますし、住みながらだとちょっとストレスを感じる場面もありました。だから工事のタイミングや、生活しながらの工夫についても事前に業者さんと相談しておくと、だいぶ気持ちがラクになります。
断熱リフォームって決して安いものではないけれど、ちゃんと計画して進めれば、あとあとずっと快適に暮らせるようになります。焦らず、納得しながら進めるのが一番だと思います。
さらに、補助金や助成金を活用する際は、申請期限や必要書類の準備を怠らないようにしましょう。
断熱リフォームには自治体や国の支援制度があり、一定の条件を満たせば費用の一部を補助してもらえることがあります。
しかし、補助金には申請期限が設けられていることが多く、手続きに時間がかかることもあります。
そのため、工事の契約前に補助金の申請方法や条件を確認し、余裕を持って手続きを進めることが重要です。
最後に、信頼できる施工業者を選ぶこともスムーズなリフォームの鍵となります。
リフォームの成功は業者の技術力や対応力に大きく左右されるため、口コミや評判を確認し、経験豊富な業者を選ぶことが望ましいです。
施工後にトラブルが発生した場合のアフターフォロー対応も含め、事前に業者としっかり打ち合わせをしておくことで、安心してリフォームを進めることができます。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 断熱リフォームは、お住まいの方の協力があってこそスムーズに進みます。工事の流れを理解し、信頼できる業者としっかり連携することが大切です。
まとめ
断熱リフォームは、快適な住環境を実現するために非常に有効な手段ですが、リフォームの種類や費用、施工方法によって得られる効果が異なります。
この記事では、断熱リフォームの費用相場や種類ごとの特徴、後悔しない選び方のポイント、施工の流れまでを詳しく解説しました。
特に、窓の断熱リフォームは比較的低コストで効果を実感しやすいため、最初の断熱リフォームにおすすめです。
また、補助金を活用したり、相見積もりを取ることで費用を抑えつつ、最適な施工を選ぶことができます。
断熱リフォームを検討している方は、まずは自宅の断熱性能を確認し、どこから手を付けるべきか優先順位を決めることが大切です。
快適でエネルギー効率の良い住まいを実現するために、この記事を参考にしてリフォームを進めてみてください!
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
- 断熱リフォームは見た目には現れにくい工事ですが、住まいの快適性やランニングコストに直結する性能向上の要です。計画段階から目的や優先順位を明確にし、信頼できる専門業者と連携することで、後悔のないリフォームにつながります。