和室から洋室へのフルリフォーム
従来の和室を、生活スタイルに合った使いやすい空間にするために、完全な洋室への変更を検討する方が増えています。
特に、小さな子どもがいるご家庭や、家具の配置を自由にしたい人にとっては、畳よりもフローリングが便利です。
また、近年はマンションでも和室がある物件が多く、居住空間の統一感を出すためにも洋室化が選ばれています。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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和室から洋室への変更は見た目だけでなく、使い勝手やメンテナンス性の面でも大きな改善が期待できます。特に子育て中の家庭では、飲みこぼしなどの清掃負担軽減の効果が期待できます。
畳からフローリングへの変更
畳をフローリングに変更するだけで、空間の印象は大きく変わります。
畳の下地をそのまま活かす場合もありますが、多くは床の高さや傾きの調整が必要になります。
下地に断熱材や遮音材を入れることで、より快適な居住空間にすることが可能です。
このとき、木目調のクッションフロアを選べば、コストを抑えつつ洋室化の効果を実感できます。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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特にマンションの場合は、下の階へ足音や生活音が響くのを防ぐため、「遮音等級(例:LL-〇〇、LH-〇〇)」という性能表示を基に、適切な製品を選定することが大切です。
襖や障子から建具への変更
和室の特徴である襖や障子も、洋風のドアやクローゼット扉に変更することで機能性がアップします。
特に、障子の破れやすさに悩んでいるご家庭では、ガラスやアクリル素材の引き戸に変更することでメンテナンスの手間を軽減できます。
ただし、建具の寸法が規格外な場合はオーダーメイドが必要になるため、費用感に注意しましょう。
天井や壁の洋風クロス化
和室の天井や壁は、土壁や砂壁が使われていることが多く、経年劣化で色褪せや剥がれが目立ちます。
これらを下地処理したうえで、洋風のクロス(壁紙)に張り替えることで、部屋全体が明るく現代的な印象になります。
リフォーム
経験者
Nさん
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砂壁をクロスに変更しました!
砂壁はそのままではクロスを貼ることができないので、下地にベニヤ板を張ったり、シーラーやパテで表面を固める下地処理に時間やお金がかかりますが、何より掃除が楽になって衛生的!それだけで快適さが全然違います。
特に、壁紙の色や素材にこだわることで、空間の印象を自由にデザインすることができます。
また、防汚・消臭機能付きのクロスを選ぶことも、リビングとして使用する場合におすすめです。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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近年は、防汚・消臭・調湿機能を持つ壁紙が多く、ペットや喫煙環境、小さなお子様がいるご家庭でも選択肢が広がっています。壁紙のデザイン性だけでなく、機能性・メンテナンス性も重視して選ぶことで、より快適な空間づくりが可能になります。
照明・コンセント配置の見直し
和室のリフォームで意外と見落とされがちなのが、照明や電源まわりの見直しです。
伝統的な和室は天井中央に引っ掛けシーリングが1つだけ、コンセントも壁際に少ないことが多く、現代の電化製品を使うには不便なことがあります。
洋室化する際には、ダウンライトや間接照明の導入、さらにはコンセントやスイッチの位置変更も検討すると、より快適な空間になります。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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照明やコンセント・スイッチの配置は、壁の内部に穴を開けて配線する工事が必要となるため、内装仕上げ前の事前計画が非常に重要です。
特に注意したいのが設置高さです。一般的にスイッチやコンセントは床から高さを指定しますが、床の高さが部屋ごとに異なると、隣接空間と高さが揃わず見た目に違和感が出ることがあります。
また、コンセントが扉の陰に隠れて使いにくくなったり、スイッチが部屋の外と内でバラついて配置されていたりすると、機能的にもデザイン的にも中途半端な仕上がりになってしまいます。図面上での位置確認はもちろん、実際の家具配置や使用動線を踏まえた現場での最終調整が、納得のいく仕上がりにつながります。
ダウンライトは狭い範囲を集中的に照らす点光源です。そのため、家具配置や生活動線を考慮せずに、例えば天井に均等に割り付けしてしまうと、空間全体が暗く感じる原因になることがあります。「どこに何を置くか」という事前の計画を前提に必要な箇所に必要な明るさを確保するための配置が理想的です。
和室の雰囲気を活かした
和モダンリフォーム
「和室を洋室に変えるのはもったいない」と感じる方には、和の趣を残しながら現代的な快適さを加える“和モダン”スタイルのリフォームがぴったりです。
落ち着いた空間に癒しを求めたい方や、デザイン性にこだわりたい方にとって、和モダンは機能性と美しさを兼ね備えた選択肢です。
琉球畳・カラー畳の導入
従来の縁付き畳を縁なしの琉球畳に変えるだけで、ぐっとスタイリッシュな印象になります。
カラー畳には、グレー、ブラウン、ベージュなどのモダンな色味もあり、洋風インテリアとも調和しやすくなっています。
また、和紙や樹脂素材の畳はダニやカビにも強く、お手入れも簡単です。
無垢材や珪藻土など自然素材の活用
無垢材の柱や板張り天井、調湿効果のある珪藻土の塗り壁などの自然素材を取り入れれば、機能性と美しさを両立できます。
自然素材は高級感があり、住む人の健康にも優しいという点で、近年注目されています。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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自然素材は施工難易度が高いケースも多いため、依頼する施工業者がその素材に対して十分な知識と施工実績を持っているかを事前に確認することが重要です。
また、価格面でも割高になることが多いため、どこに自然素材を使い、どこを既製品で仕上げるかのメリハリもコストコントロールの鍵になります。
間接照明とインテリアの工夫
照明を工夫することで、和室の落ち着いた雰囲気をさらに引き立てることができます。
天井や床からの間接照明を取り入れれば、光の陰影によって空間に奥行きが生まれます。
障子越しに光が漏れるような柔らかな照明設計も、和モダンの醍醐味です。
インテリアも、無垢材のローテーブルやシンプルな座布団など、自然素材を中心にまとめると統一感が出ます。
障子をガラスやアクリルに変更
障子の繊細な風合いを残しつつ現代風にアレンジしたい場合には、ガラスやアクリルの格子入り建具が効果的です。
採光性を保ちつつ破れにくく、メンテナンスの手間も軽減できます。
また、デザイン性の高い障子風パネルは、空間を仕切る間仕切りやスライド扉としても活躍します。
収納力アップを目的としたリフォーム
和室のリフォームでは、収納スペースの強化も重要なポイントです。
特に、押し入れや天袋といった従来の収納は、現代の生活スタイルにはやや不便な場合もあります。
効率よく収納を確保しつつ、空間を広く快適に使うための工夫をご紹介します。
押し入れをクローゼット化
布団の収納を前提とした押し入れは奥行きが深すぎて、衣類や小物を整理しにくいという声も多く聞かれます。
そこで、押し入れをクローゼットにリフォームすることで、使い勝手が大きく向上します。
ハンガーパイプや可動棚を設置することで、衣類収納や日用品の整理がスムーズになります。
扉も引き戸や折れ戸、ロールカーテンなどに変更でき、好みに合わせて調整可能です。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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ハンガーパイプを設置する際は、設置位置(高さ・奥行き)に注意が必要です。例えば、扉のすぐ内側に設けると、ハンガーが接触して扉が閉まりにくくなることがあります。また、高さが低すぎるとコートやワンピースなどの丈が長い衣類が床に接触し、しわや汚れの原因になることも。
衣服の種類や収納スタイルに合わせて事前に施工業者と打ち合わせを行うことが大切です。
造作家具の導入
スペースを有効活用したい場合は、オーダーメイドの造作家具が効果的です。
例えば、押し入れをワークスペースにリノベーションしたり、床の間を本棚に変更することもできます。
一人暮らしやリモートワークの増加に伴い、「小さな書斎」としての使い方も注目されています。
監修者:
2級建築施工管理技士
山﨑 南
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デスクスペースとして使うなら、近隣への音漏れや室内の反響音対策として、防音材や吸音材を部分的に取り入れる工夫も有効です。
加えて、電源・照明・換気扇の設置を前提に電気配線を通しておくことで、見た目もすっきりとした快適な空間に仕上がります。小さな空間でも、こもれる書斎としての満足度を高めるためには、見えない部分への配慮が鍵となります。
床下・天井裏の活用
見落とされがちですが、和室の床下や天井裏のスペースを活かした収納も有効です。
床下収納庫を設けたり、天井裏に収納棚を作ることで、目に見えない場所に物を整理できます。
特に、季節用品や使用頻度の低い物の保管に適しています。
バリアフリー化を目的とした
和室リフォーム
高齢化が進む現代では、和室を安全で使いやすい空間へとバリアフリーリフォームするニーズが高まっています。
特に、高齢の家族と同居している場合や、将来的な介護を見据えてリフォームを検討するケースも少なくありません。
段差の解消や転倒防止など、日々の生活を安心して送るための工夫が求められます。
段差の解消
伝統的な和室は、廊下や隣接する部屋との間に敷居や段差があり、つまずきやすい構造になっています。
この段差をなくすことで、車椅子でもスムーズに出入りできるようになり、歩行の不安定な高齢者にも安心です。
具体的な段差解消には、床の高さを揃えるだけでなく、開口部の敷居をフラットにする必要があります。
工事の際は構造上の制約もあるため、専門業者と十分に相談しましょう。
畳の素材変更(やわらかく・滑りにくく)
畳はもともと柔らかい素材ですが、経年劣化や湿気によって滑りやすくなることもあります。
特に、バリアフリーを目的とした場合には、クッション性のある和紙畳や樹脂畳が有効です。
これらの素材は転倒時の衝撃を吸収しやすく、また表面が滑りにくい加工がされているため安全性が高いです。
加えて、ダニやカビが発生しにくく、清潔な状態を保ちやすいというメリットもあります
手すり・照明の設置
安全な移動をサポートするために、和室の出入口や布団スペースの横などに手すりを設置するのも有効であり、立ち上がりやすくなるだけでなく、心理的にも安心感があります。
また、照明も大切なポイントです。
和室にありがちな「ぼんやりした照明」では足元が見えにくくなるため、明るく均一に照らす間接照明や足元灯を取り入れると安全性が向上します。
多目的空間へのリノベーション
近年では、和室をひとつの用途に限定せず、多目的に活用できる空間へとリノベーションするケースも増えています。
使わない和室をそのままにしておくのはもったいないという考えから、柔軟に使える機能性の高い空間へと変える動きが加速しています。
書斎・在宅ワークスペースへの転用
リモートワークや副業が広がる中で、和室を静かなワークスペースとして活用する家庭が増えています。
畳の上にデスクとチェアを置くシンプルな構成から、押し入れをワークブースにリフォームするアイデアまで幅広く対応可能です。
特に、扉付きの収納スペースが多い和室は、仕事道具をすっきりと片付けやすい点が魅力です。
子どもの遊び場や学習部屋
和室の柔らかい床材や広々とした構成は、子どもが安心して遊べるスペースとしても最適です。
おもちゃや絵本を収納できる棚を設けたり、壁にマグネットボードを取り付けたりすれば、知育や学習にも活用できます。
また、畳は防音性があるため、飛び跳ねても下の階への音が響きにくく、マンション住まいの家庭でも安心です。
来客用スペース・宿泊部屋として再構築
普段は使わない和室でも、来客や家族の一時的な宿泊に活用することができます。
布団の収納場所を整えておけば、必要なときにすぐに寝室として使用可能です。
さらに、折りたたみ式の座卓やチェアを用意しておけば、客間や応接間としても機能します。
また、収納付きベッドや可動式間仕切りを導入すれば、より快適で柔軟な用途の空間に仕上がります。
コストを抑える簡易リフォームアイデア
大がかりな工事は難しいものの、和室の雰囲気を変えたいと考える方も多いでしょう。
そのような場合は、手軽に実行できる簡易リフォームはいかがでしょうか?。
費用を抑えつつも、従来の和室の印象を大きく変えることができる方法を紹介します。
畳表の交換だけでリフレッシュ
畳そのものをすべて交換せずとも、「畳表(たたみおもて)」だけを張り替える「表替え」を行うだけでも、和室全体が明るく清潔な印象に生まれ変わります。
表替えは費用も比較的安価で、1畳あたり5,000〜10,000円前後で施工可能です。
さらに、色付きの畳表を選べば和モダン風のアレンジも楽しめます。
壁紙・ふすま紙の張り替え
壁やふすまの汚れや色あせが気になる場合には、クロスや襖紙の張り替えが効果的です。
最近では、初心者でも扱いやすい、貼って剥がせるタイプの壁紙や襖紙が登場しており、DIYでも対応可能です。
費用を抑えることを重視したい方は、自分で施工してみるのもひとつの選択肢です。
インテリアや家具配置の工夫
リフォームとまではいかなくても、家具やインテリアを見直すことで和室の雰囲気を大きく変えることができます。
例えば、間接照明を取り入れたり、和紙風のカーテンを設置したりするだけでも、印象がぐっとモダンになります。
あるいは、ローテーブルや座椅子のデザインを統一するだけでも、まとまりのある空間になります。
和室のリフォーム前に確認すべき注意点
和室のリフォームを成功させるためには、事前の計画と下調べが欠かせません。
とくに、構造や予算、業者選びに関しては慎重に対応する必要があります。
トラブルを避けるためにも、次のポイントを事前に確認しておきましょう。
構造上、変更できない部分を知る
和室は柱や梁が露出している構造も多く、壁や天井の変更には制限がある場合があります。
特に、築年数の古い住宅では、建築基準法や耐震性の観点から改修できない部分もあるため、必ず事前に調査を依頼しましょう。
また、床下や天井裏のスペースがどう活用できるかも、構造次第で大きく変わります。
最初に知りたかった…現地調査って大切!
リフォーム
経験者
Aさん
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できれば思い切って、壁や天井もスッキリと洋室っぽくしたかったのですが、もともとの柱や壁は変更できないものが思ったより多くて少しショックでした。
築年数の古い家だから仕方ないとはいえ、想像してたより自由度がなかったです。
やってみないとわからないことも多いなと感じました。最初から「これはできないかも」みたいなことも、もう少し早く分かってたら、別の選択肢も検討できたかなと思います。
予算と工期の目安
リフォーム内容によって予算と工期は大きく異なります。
畳の張り替えや壁紙交換などの軽微な改修であれば数万円〜数日程度で完了しますが、洋室化や間取り変更などの大規模リフォームでは数十万円〜100万円以上、工期も1週間以上かかる場合があります。
業者選定のポイント
和室のリフォームには、専門的な知識や技術が求められます。
実績が豊富な業者を選ぶことはもちろん、過去の施工事例や口コミを確認し、希望のスタイルや要望に対応してくれるかを見極めましょう。
また、契約前には必ず現地調査をしてもらい、口頭ではなく書面での見積もり・工程表を取り交わすことが重要です。
そして重要なのが、見積もりは必ず複数社から取ることをお勧めします。
最低でも3社ほどから見積もりをとることで、施工内容に対する適正価格を把握できるだけでなく、アフターフォローを行っているかなど、サービスの充実度を比較できるからです。