防音工事の費用相場と選び方:後悔しないためのポイントと施工の流れ
最終更新日:2025年7月11日
生活音や外部からの騒音に悩む人が増える中、防音工事への関心が高まっています。「思ったより費用がかかるのでは?」「どの方法が効果的なのか分からない」など、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、防音工事の費用相場や種類、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。また、業者選びや施工の流れについても触れることで、後悔しないためのポイントをお届けします。
リフォーム
経験者
Yさん
- 正直なところ、一番良かったのは子どもに「静かにして」など注意する回数が減ったことです。以前は下の階にどんな方が住んでいるかも分からなくて、子供の挙動にはかなり気を遣っていました。
リフォーム後は、子どもが走ったりジャンプしたりしても、床の音が前ほど響かなくなったので、私自身も「まぁ、これくらいなら大丈夫かな」と気持ちが楽になりました。完全に音がゼロになるわけではないですが、以前より日常のストレスが減ったのは大きいです!
防音工事の費用相場を知る前に考えるべきこと
なぜ防音工事が必要なのか
防音工事を考える背景にはさまざまな理由があります。例えば、隣室や外部からの騒音によって集中力が削がれたり、夜間の物音で睡眠が妨げられたりといった日常的な問題です。特に在宅勤務が普及した昨今では、静かな環境を整えることが以前よりも重要視されています。
また、反対に、自分が発する音が近隣に迷惑をかけているのではないかと気にするケースも少なくありません。防音工事は単に音を遮断するだけでなく、生活の質を向上させるための大切な手段でもあります。
防音工事を考えている人に伝えたい事は?
リフォーム
経験者
Yさん
- 防音工事をしたら「無音」になるわけじゃなくて、大きな音はそれなりに聞こえるので、過度な期待は禁物です。納得いくまで「どのくらい静かになりますか?」って具体的に聞いてみるのが一番です。
監修者:
1級建築
施工管理
技士
亀田 融
- 音は空気が振動することによって人の耳に伝達するものですが、音の伝わりを防ぐための方法には「遮音」と「吸音」があります。
「遮音」が音を跳ね返して音漏れを軽減させるのに対して、「吸音」は音を吸収して音の伝わりを防ぐことをいいます。
「遮音」の代表的なものには窓を二重サッシや複層ガラスに変えて室内と室外との間で音を遮断させる方法があり、「吸音」では壁にグラスウールやロックウールなどを入れて音を拡散・吸収させる方法が一般的です。
防音工事にかかる費用の幅
防音工事の費用は、工事内容や規模によって大きく異なります。例えば、簡易的な窓の防音工事では10万円前後で済む場合がありますが、壁や床、天井を含む本格的な防音工事では、数十万円から数百万円に及ぶこともあります。以下は一般的な費用例です。
- 防音工事にかかる費用の幅
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- 窓の防音: 1窓あたり5万~10万円
- 壁の防音: 1㎡あたり1万~3万円
- 床の防音: 1㎡あたり5,000円~2万円
- 天井の防音: 1㎡あたり1万~2万円
費用が異なる背景には、使用する材料や工事の難易度が関係しています。
予算に影響を与える要因
防音工事の費用は、施工面積だけでなく以下のような要因によっても変動します。
- 使用する素材の質: 高性能な遮音材や吸音材を使用するほど費用が上がる傾向があります。
- 建物の構造: 木造住宅と鉄筋コンクリートでは、防音対策の難易度が異なります。
- 施工業者の選定: 大手業者と地元業者では価格帯が異なる場合があります。
これらを考慮しながら、予算を事前にしっかり立てておくことが大切です。
防音工事の費用、正直どうだった?
リフォーム
経験者
Yさん
- 我が家は費用が思っていたより高くついてしまいました。オプションをすすめられ、同時にやった方が大幅に安くなる…などと言われてついお願いしてしまい、後で冷静になると「そこまで必要だったかな」と。営業テクニックにやられた感じです。
ただ業者さんは思っていたより対応が丁寧で、「家具の移動はこちらでやりますよ」と言ってもらえたり、作業もスムーズでした。金額的には正直ちょっと高いな…と思いましたが、「これで下に気を遣わずに済むならアリ」と家族も話しています。
防音工事の種類別に見る特徴と効果
壁の防音工事の具体例
壁の防音工事は、室内や隣室への音漏れ対策として最も一般的な方法です。主に吸音材や遮音材を使用して施工しますが、施工方法によって効果が異なります。
例えば、石膏ボードや遮音シートを既存の壁に追加する方法では、比較的短期間で施工が完了します。
また、壁の内側に吸音材を詰める場合は、施工に時間と費用がかかりますが、より高い防音効果を期待できます。
窓の防音工事が選ばれる理由
窓からの音漏れは、外部の騒音対策において大きな課題です。
特に、交通量の多い道路沿いの住宅や都市部では、窓の防音対策が重要になります。
防音窓には、大きく分けて、二重窓や防音ガラスなどの選択肢があります。
二重窓は既存の窓の内側にもう一つ窓を設置する方法で、高い遮音性を誇ります。
また、防音ガラスは厚みや特殊な素材によって音を効果的に遮断します。
施工費用は1窓あたり5万円〜20万円ほどが目安ですが、部屋全体の快適性が大きく向上するため、長期的にはコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
床と天井の防音でできること
床や天井の防音工事は、集合住宅での生活音対策として欠かせません。特に、足音や物音が問題となる場合には効果的です。
床には防振マットや吸音カーペットを使用し、振動音を軽減します。一方、天井の防音工事では、吸音材を天井裏に設置することで、上階からの音を軽減できます。
どちらか一方でも良いのですが、これらの工事を組み合わせることで、より静かな室内環境を実現できます。
監修者:
1級
建築施工
管理技士
亀田 融
- これらの他に室内のドアを防音ドアに変えたり、壁の防音工事とあわせて換気口への防音工事を行なったりすることも有効です。
防音ドアとはドア本体とドア枠との隙間を専用のゴムパッキンで埋めることで密閉し、さらに通常は空洞になっているドア本体の内部に充填剤を詰めることで、音が漏れないように工夫されているものです。
また外壁に防音対策を施しても、換気口が音の侵入の原因になることがあります。
したがって外壁に設置されている換気口に防音フードを被せたり、換気ダクトの内部に専用の吸音材を設置したりする方法があります。
防音工事を依頼する際の重要なチェックポイント
業者選びで気を付けたいこと
防音工事は専門性の高い分野であり、業者選びが成功の鍵を握ります。
まず確認すべきは、業者の実績や資格です。
例えば、防音工事の施工実績が豊富な業者は、過去の成功事例をもとに最適な提案をしてくれる可能性が高いです。また、防音工事に特化した資格(例:建築士、防音工事技術者)を持つスタッフがいるかも確認するとよいでしょう。
さらに、口コミやレビューも重要な判断材料です。
地域密着型の業者は、近隣住民からの信頼度が高いケースが多いため、地元での評判をチェックしましょう。
防音工事の業者を決めるときは⋯
リフォーム
経験者
Yさん
- 営業さんに「今だけキャンペーンです!」って言われても、即答せずに一旦持ち帰って家族と相談した方が絶対いいです。勢いで決めると、後から「やっぱり要らなかったかな…」ってなることがあるので…。
見積もりで確認すべき具体的項目
防音工事の見積もりは、単に金額だけを比較するのではなく、内容を細かく確認することが大切です。
たとえば、以下の項目をチェックしてください
- 見積もりのチェックポイント
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- 使用する材料の具体的な名前と性能
- 工事範囲や施工方法
- 人件費や資材運搬費などの詳細な内訳
特に、安価すぎる見積もりには注意が必要です。
隠れた費用が後から発生したり、品質の低い材料が使用されるリスクがあります。明確で納得できる見積もりを提示してくれる業者を選びましょう。
事前準備で防ぐトラブル
防音工事のとき、事前に出来る事といえば?
リフォーム
経験者
Yさん
- 我が家だけかもしれませんが、工事中に子どもたちをどうやって過ごさせるかもすごく苦労しました。
特に子供のいる方は何か予定を作ったり遊びに連れ出したり、などしっかり計画立てれば安心だと思います!
工事をスムーズに進めるためには、事前の準備も重要です。
例えば、近隣住民に事前に挨拶をしておくことで、施工中の騒音に対する理解を得やすくなります。
また、家具や家電を移動させておくことで、工事がスムーズに進み、トラブルを回避できます。
監修者:
1級建築
施工管理
技士
亀田 融
- 防音工事では予算にばかり注力してしまって中途半端な工事内容になり、期待していたほどの防音効果が得られなかったケースがたびたび発生しています。
このような失敗を防ぐためにも、施工業者との事前のコミュニケーションが非常に重要になります。
防音工事は現況によって必要な工事内容が大きく異なるため、自分の要望を業者にきちんと伝えて、お互いの改修後のイメージを一致させておくことが大切です。
防音工事の施工プロセスと日数の目安
現地調査から見積もりまでの流れ
防音工事は、まず現地調査からスタートします。
業者が住宅を訪問し、建物の構造や音漏れの状況を詳しく確認します。
この調査では、どの部分に防音が必要か、どの材料を使うべきかが具体的に提案されます。現地調査の後、業者は見積もりを作成します。通常、調査から見積もりの提出までは1週間程度かかる場合が多いですが、緊急対応が可能な業者もあります。
初回相談時に自分の希望や予算をしっかり伝えておくと、スムーズに進みます。
実際の施工にかかる日数と工程
防音工事の施工日数は、工事内容によって異なります。
たとえば、窓の防音工事であれば、1窓あたり半日〜1日で完了することが一般的です。一方、壁や床、天井を含む本格的な防音工事では、数日〜1週間程度かかる場合があります。
一般的に、施工工程は以下のような流れで進みます
- 材料の搬入と準備
工事開始前に必要な材料を搬入し、現場を整備します。
- 防音材の設置
壁や床、窓に防音材を取り付けます。丁寧な作業が防音性能に大きく影響するため、ここが重要な工程です。
- 仕上げ作業
取り付けた防音材の表面を仕上げ、内装を元通りに戻します。
施工後の確認とアフターサポート
工事が完了したら、防音効果を確認します。
実際に部屋内で音を出し、隣室や外部での聞こえ方をチェックするのが一般的です。
また、アフターサポートが充実している業者を選ぶと、万が一不具合が発生した場合にも迅速に対応してもらえます。
防音工事の選び方と効果的な組み合わせ
防音工事を選ぶ際の優先順位の付け方
防音工事を計画する際、コスパや効果を最大化するために目的を明確にして工事の優先順位をつけることが重要です。
例えば、外部の騒音が気になる場合は窓の防音を最優先に考えるべきです。
一方で、室内の音漏れが気になる場合は、壁や床の防音工事が効果的です。
防音工事の優先順位をつける際には、以下の質問を自分に問いかけると良いでしょう
- 一番気になる音の出所はどこか?
- 音漏れを完全に防ぎたいか、それとも軽減できれば良いのか?
監修者:
1級建築
施工管理技士
亀田 融
- 防音工事ではどのような音を防ぎたいのかによって必要な対策が異なるため、防ぎたい音を事前に明確にしておくことが重要です。
住居の外で発生する音の侵入を防ぎたいのか、また住居内で発生する音の伝達を防ぐ場合であればどの部屋で発生する音なのかといったように、あらかじめ問題点を明確にしておく必要があります。
複数の施工を組み合わせるメリット
一部の防音工事だけでは、期待する効果を得られない場合があります。
たとえば、窓の防音工事を行っても、壁や床が薄いままでは音が漏れてしまいます。ゆえに、窓と壁、床と天井など、複数の施工を組み合わせることで、より高い防音効果を実現できます。
また、施工の順番を考慮することも重要です。先に窓の防音工事を行い、その後で壁や床を施工することで、効率的にコストを抑えられるケースもあります。
まとめ
防音工事は、快適な生活環境を実現するために有効な手段です。
費用相場や種類、施工の流れを理解することで、計画的に進められるようになります。特に、業者選びや施工内容の確認は、リフォームで後悔しないための重要なポイントです。
自分の生活環境やニーズに合った防音工事を選び、信頼できる業者と一緒に進めることで、生活の質を大きく向上させることができます。
まずは専門業者に相談し、見積もりを取るところから始めてみてはいかがでしょうか。
リフォーム
経験者
Yさん
- 「予算ギリギリで考えすぎない方がいい」とお伝えしたいです。私もそうだったんですが、見積もりから最終的にいろいろ追加されることが本当に多かったので、「ちょっと余裕を見ておく」のが何より安心だと思います。
監修者:
1級建築
施工管理技士
亀田 融
- 近年、住宅トラブルの中でも騒音問題が注目されていて、特に「生活音」に関するトラブルが増加傾向にあるようです。
また単に室外からの騒音を抑えるだけでなく、家族の話し声やテレビの音などの家庭内の生活音を抑えてテレワークに適した環境を作りたいといったご要望も増えています。
防音工事には簡易的な防音から本格的な防音工事まで様々あるので、自分の用途や目的に合わせた対策をとることが非常に重要になります。

亀田 融
匠住宅診断サービス 代表
1級建築施工管理技士、JSHI公認ホームインスペクター
- 東証一部上場企業グループの住宅会社に現場監督、住宅リフォーム事業の責任者として約33年間勤務した後に、2015年10月よりホームインスペクション(住宅診断)の専門会社を立ち上げて自ら運営すると共に、小規模リフォーム会社の顧問として活動中。